参考文献

本エントリーは現在、主に瀧川の調査論文(2011)をまとめた内容になっています。
瀧川 光治「指導計画づくりに活かすための保育記録のあり方(1)先行文献の整理を中心に」教育総合研究叢書 (4), 53-70, 2011-03, 関西国際大学 CiNii | pdf

実施例

画像は瀧川の調査論文(2011)より。

定義

「保育環境を図にした様式に遊びをマッピングし,そこで展開されている遊びの様子と子どもたちの経験を記述するもの」河邉,2009
「保育室や園庭の環境図に「環境構成のポイント」「子どものイニシャル(名前)と,いた時間」を書き入れ,1日が終わったら「保育者の反省と明日からの援助」を赤文字で記入するもの」寺田ら,2009
「園の環境図の中に子どもたちの遊ぶ様子をイラストで描き,そこに吹き出しをつけて具体的な様子を書き表した1枚の地図」岡本・新開・庄籠(2007)

※ 「環境図記録」「保育環境図」「保育マップ」「保育マップ型記録」など様々に命名されているが、園の環境図(地図)上に保育記録を配置し、空間的情報を把握しやすくするという方法論上の差異はないように思われるため、総称としては短く覚えやすい「保育マップ」と呼ぶことにする。

保育記録研究における保育マップの歴史

この方式を最初に採用したのが誰かはわからないが、「保育マップ」という言葉に関しては瀧川の調査論文(2011)に書かれている。

  • 2003 近藤が「保育環境図」に関する論文を発表。この原論文は入手できていないが、河邉(2008)によれば「保育環境図に幼児の活動を書き込む記述法は有効である」「保育室・テラス・園庭等の環境図の中に記録を書き込むような方法をとると,遊び毎の文章記述だけで書いた記録の場合には見えなかったグループ同士の力関係や近くの遊びのつながりなどが見えてくる」などと書かれているとのこと。
    近藤 幸子「幼児教育における教育的で計画的な環境構成と保育記録」佐賀大学教育実践研究 19, 155-174, 2003-03-31 佐賀大学, CiNii
  • 2005 河邉が「環境図記録」について体系化し書籍にまとめた。
    Amazon: 遊びを中心とした保育―保育記録から読み解く「援助」と「展開」
  • 2007 佐賀大学教育学部附属幼稚園の庄籠が作成していた「環境図記録」を新海が「保育マップ」として命名し、自身の実習指導において学生に描かせた。この経緯は以下の抄録に記載されているらしいが未入手。
    岡本拡子・新海よしみ・庄籠道子「環境図から保育マップへ―新しい保育記録の提案と実習指導へのいかし方―」『日本乳幼児教育学会第17回大会発表抄録集』、日本乳幼児教育学会、2007、pp.32-33
  • 2008 これを河邉が「保育マップ型記録」とし、新たな提案として発表した。
    河邉 貴子「明日の保育の構想につながる記録のあり方」保育学研究 46(2), 245-256, 2008, 一般社団法人 日本保育学会 CiNii | pdf

参考文献追加:

ICT・センシング等への応用

保育ICT化やセンシングにおいて、環境図上にログを提示するというのは自然な考えであり、とりたてて新規性を主張するようなものでもないような気もする。以下、そのような可視化手法を採用している研究を列挙するが、全く網羅的ではない。

デジタル保育記録の出力手法として保育マップを用いるシステム。

長谷部 朱音、加藤 直樹、坂東 宏和「幼稚園における保育記録活用を支援するシステムの開発」情報処理学会研究報告. コンピュータと教育研究会報告 2014-CE-124(3), 1-8, 2014-03-07, CiNii | pdf

私もUnityで三次元可視化してみました。

音声や位置情報も取得できるAndroid用カメラアプリ「タグカメラ」を用いて撮影した、くらき永田保育園の一日の写真をブラウザで確認できます。

Yuuki Nakagawa, Nagisa Kokubu, Ryusei Ono, Hiroshi Sugimura, and Shigeru Owada “3D Documentation of Nursery Activity using Photographs with Location and Sound Information”,IEEE LifeTech 2020, Kyoto, Japan. pdf

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