VR(仮想現実)の技術が進み、頭部に装着するHMD(ヘッドマウント・ディスプレイ)も軽く、安価、高解像度になり、身近なものになってきています。またスマートフォンだけでもVRを体験できる時代になり、仮想世界への没入がより容易になってきています。

保育現場においても、コロナ禍により園見学が難しくなったこともあり、VRを用いて自宅に居ながらにして園見学体験ができるようになり、また、子どもの視点から保育サービスを体験することにより、子どもの立場から保育を考えるような教育コンテンツも出てきています。

 
ジョリーグッド「保育教育VR」 / ヒューマンアカデミー「子どもの安全対策VR教材

私たちも、保育現場の状況を理解し保育スキルを高めるためのVR技術の活用について研究をしています。
VRは、場所・時間の制約なく保育現場に入った感覚を味わうことができ、保育環境のサイズ感や子どもとの距離感を感じながらさまざまな体験を提供できるのが利点です。

 

私たちはまず、子どもが望ましくない行動をした場合に保育士が手を差し伸べる関わり方、つまり「介入行動」をテーマにVRを活用することを考えています。保育士は、差し迫った危険性がない限りは、誰でも同じタイミングで介入するわけではありません。この介入タイミングの差は、保育に対する信念、考え方の影響を受けるのではないか?というのが仮説です。この仮説を検証するために、子どもの行動が段々にエスカレートし、事故に発展するような場面をいくつか作成し、この中で保育士がどのように活動するかを記録するコンテンツを作っています。

本プロジェクトは、くらき永田保育園のプロジェクトとして、2022年度、同志社大学の計画共同研究として採択され、現在実施中です。