LENAは「Language ENvironment Analysis」の略。
2004年に設立されたLENA Foundationにより開発された、ウェアラブルの録音デバイスとクラウドシステム、そしてコーチング事業。
- LENA HP
- Academic reference? 派生研究も載っている
専用デバイス(DLP: Digital Language Processor)を専用の服のポケットに入れて会話ログをとり、一日の終わりにパソコンに接続してクラウドにデータを転送する。
人間の発達においては3歳までの時間が支配的に重要なステージであり、この間の体験によって注意、自己統制、動機づけ、社会性などが大きく左右される。この期間の会話の交換が脳の成長に大きな影響を与える。とりわけLENAを用いた縦断研究により、18-24か月の間の会話量が思春期のIQや言語理解、言語能力にとって重要であることが分かった。つまり、幼少期への投資には非常に大きな費用対効果があるということである。
クラウドサービスでは録音された会話情報の統計を親や保育園にフィードバックするが、プライバシー保護のため、その回数をカウントするだけで音声は消去するとのこと。具体的には以下の量を測定し、レポートする。
- Adult Word Count (AWC)
大人が子どもに伝えたワードの数。 - Conversational Turns (CTs)
子どもが大人の言葉に反応した数、またはその逆。 - Child Vocalizations (CVs):
子どもが発した声のうち、前後に0.3秒の沈黙(またはほかの音)があるものの数。ただし泣き声や咀嚼音(?vegetative sounds)は除く。
このデータを用いて、保育に役立てるための講座も開催。LENA Start(親向け)、LENA Grow(保育園教師向け)、LENA Home(訪問コーチング)、LENA SP (研究者向けのプログラム)など。
内部的にはGaussian mixture modelsを使って、入力音声を12種に分離し(音声、環境音など)てから処理を行っているらしい。ref
- 親は、実際よりも多く子どもと話していると思っている
- ほとんどの言語獲得は母親よりなされる。子どもの会話の75%は母親との間でなされる。
- 母親は、娘より息子と多く話す。(9%
- 親は第一子と最も多く話す。
- ほとんどの親子対話は夕方になされる。
- おしゃべりの親を持つ子はおしゃべりである。
- テレビをよく見る子どもほど、言語能力は低い傾向がある。
- 自閉症の子を持つ親は、会話量が少なくなる。
HomeBank
LENAを用いた録音データベースらしい。
“HomeBank: An Online Repository of Daylong Child-Centered Audio Recordings”
Mark VanDam,Anne S. Warlaumont, Elika Bergelson, Alejandrina Cristia, Melanie Soderstrom, Paul De Palma, Brian MacWhinney
論文