昨年に引き続き、今年も行ってまいりました!大阪!

9/28-29の日程でグランフロント大阪で開催されたSmart Energy Japan Westというイベントに出展してきたので報告します。昨年はSmart Energy Japan in Osakaという名前で、ET展(組み込み機器展)とジョイント開催だったのですが、今年はエネルギーオンリーイベントとなり、名前も微妙に変わっての開催となりました。エネルギー関連ビジネスへの関心が社会的に少し下がってきているのでは?という話をたまに耳にすることもあるのですが、人類の存亡をかけた環境問題に対処するにはエネルギーの消費削減や再生可能エネルギーへの転換は至上命題であり、ビジネスになろうがなるまいが取り組まなければならない全人類的課題と言えるでしょう。

さて、神奈川工科大学にはスマートハウス研究センターがあり、日本のスマートハウスの発展に寄与すべく活動を続けておりまして、その一環として大阪だけでなく東京ではENEXというイベントに毎年参加し、関連企業のビジネスに役立てていただけるよう努力しております。今年からは私も神奈川工科大学の非常勤講師になりまして、いっそう万全の体制で臨むことになりました(笑)

各イベントでは大学のブースを多数の関連企業に提供し、企業集合ブースとして展示するという体制を毎回採っています。今回は:

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の1団体・6社にご出展いただきました。さらに、ECHONET Lite機器の提供と説明のため、ナルテック株式会社文化シャッター株式会社にもご協力いただきました。

今回の出展のポイントとしては、一つにはECHONET Liteの知名度向上、もう一つには私が4月に大学から出したソフトウェアPicoGWにご協力頂いている関連企業の宣伝です。

まず一点目の背景として、今年の東京のENEXも大変盛り上がったのですが、反省として一部の出展企業から挙がったのが「ECHONET Liteの普及度は高まってきているのにその名前を知らない人が多く、説明に苦労することがある」というものでした。知名度が低いと、その影響力が過小評価され、関連ビジネスを展開するうえで社内外の調整に手間取るかもしれません。

そこで今回はECHONETコンソーシアム直々にご出展いただき、ブース全体デザインとしてもECHONET Liteを大々的に打ち出す、またテュフラインランドジャパンにご協力頂いてECHONET Lite相談コーナーを設ける、また、ブース内全パネルにエコーネットのロゴを貼るなどして知名度向上に努めました。また、ECHONET Lite機器を発売している前述二社にもブース内の機器展示と説明を行っていただきました。




二点目のPicoGWですが、これは私がソニーコンピュータサイエンス研究所で長年開発を続けてきたKadecotのノウハウを生かして新たに開発したホームサーバーで、神奈川工科大学からオープンソースで公開されています。このソフトウェアは中立性とさらなるオープン性を特徴にしており、活発に開発を続けています。さらにこのサーバーソフトに関心を持っていただいた数社に加わっていただいて、Pico Communityというゆるいチームを結成し、応用について検討を進めています。これら企業にも多数出展していただきました。

PicoGWは幸運にも登場早々に、大和ハウス工業株式会社が採択された経産省の「IoTを活用した社会システム整備事業(スマートホームに関するデータ活用環境整備推進事業)」という補助事業において拡張キットの開発を行うことができました。拡張部分のソフトウェアは未公開・未発売ですが「NanoGW」という名前で、すでに大和ハウス工業株式会社のSMA×ECO CITYつくば研究学園にて30世帯の実証実験に供されています。この拡張開発ではユーザーインターフェース部分を株式会社クレステックに、サーバー部分をクウジット株式会社にお願いしました。株式会社クレステックではこのユーザーインターフェースをさらに独自拡張して、ECHONET Lite機器から自動的に送信されるエラー信号に基づきマニュアル情報を提示するデモを行っていました。また、このソフトウェアはNextDrive社のCube-Jという世界最小サイズのホームゲートウェイデバイス上での動作も確認されており、今後の商用化に向けて検討を進めています。さらに3D CAD最大手のオートデスク株式会社は、現在積極的に推進しているBIM (Building Information Modeling)にもECHONET Liteが有用ではないかと考え、同社のWebブラウザ用ビューア「Forge Viewer」からPicoGWを介してECHONET Lite機器を動作させるデモを開発・展示していました。

エコーネットコンソーシアムはECHONET Liteの概要がよくわかるパネルとパンフレットコーナーを設けて、会員企業が入れ替わりで説明を行っていました。いつもお世話になっております!

オートデスクでは、前述のようにBIMのForge ViewerからPicoGWを用いて東芝のダウンライトを動かすデモと併せて、RevitLive Viewerといった、その他の建築向けソフトウェアのデモも交えて自社のラインナップの説明を行っていました。建築ツール界の世界企業がECHONET Lite業界に新風を巻き込んでくれることに大きな期待を寄せています!担当者若い!

クレステックはマニュアル制作会社の利点を生かし、ECHONET Liteの規定により機器から送られてくるエラーコードに基づいて取扱説明書情報を表示するデモを行っていました。今後は同社が提案するように、機器にトラブルが起こった時に紙のマニュアルを自分で探して対処するのではなく、動的に必要な情報が送られてくるように変化してくるに違いありません。自分の家でも時々洗濯機が故障して大慌てしてしまうので、一刻も早く実用化してほしいと思います。前述のように、私が作ったPicoGWのしょぼいユーザーインターフェースをかっこいいガチのインターフェースに作り替えてくれたのも同社。

展示に使われていた家電エミュレータのデザインも素晴らしいものがありました。

大和ハウス工業は前述の国プロで開発した全システムの概要がわかる展示をしていました。Boccoで音声認識を行い、Hueや三菱のECHONET Lite対応エアコンを動作させることが可能になっていました。中立的なホームサーバーの必要性やBIMへのECHONET Liteの可能性を説いてくれたのは大和ハウスの吉田氏。萌家電の時からのお付き合いです。業界でもずば抜けた先見の明をお持ちのお方。今後ともよろしくお願いします!

NextDrive.Incでは5月に発売し売り上げ絶好調のCube-Jのプロモーションを行っていました。私も持っていますが綺麗で可愛い端末で、これがホームゲートウェイになり、Wi-SUN無線によりスマートメーターにも接続できるなんて信じられません。この上でPicoGWが動作するところを早く見たいものです。


ソニーコンピュータサイエンス研究所では、NanoGWのBIM応用が可能かどうかの実験として、100個以上の照明がビルに設置されている状態をエミュレーションし、一台のNanoGWでそれらから送信される状態変更通知を捌いてWebAPIに提供し、さらにオートデスクのForge Viewerでその状況をリアルタイムに可視化するデモを行いました。二日間安定に展示できていたので、ECHONET Lite対応の機器はかなり増えても対処可能なソフトウェアであるという自信をつけました。


また、ソニーの電子タグ(ブロック)であるMESHと通信するためのプラグインを内部的に開発し、タグ操作によって家電を動かすデモも展示しました。こちらはMESHの情報がNanoGWのAPIで取得できるようになっており、さらにそれをNode-REDというIoT用のビジュアルプログラミング環境で使えるようにして、タグと家電動作との紐づけを行えるようにしました。東芝のダウンライト・エアコン、ニチベイのブラインド(試作品)、文化シャッターの電動シャッターを動作させました。MESHとつなぐ部分はデモオンリーでまだ一般公開はできませんでしたが大変好評だったので、ぜひ世の中に出せるよう努力したいと思います。

さらに、NanoGWのサーバー機能やMESHへのアクセス実装に技術的に深く協力して頂いたクウジット株式会社に今回のデモでもご協力頂き、同社が開発しているDF.sensorという、スマートフォンのWiFiインターフェースから出されるビーコン機能を読み取って、イベントの来場者数を自動計測するデモも展示しました。こちら他のイベントでも運用実績がある面白いシステムなので、もし同様のことに興味がある方は、クウジットに問い合わせてみてください。

機器提供をしていただいたナルテックはECHONET Liteのミドルウェアを搭載したアダプタを販売している会社で、様々なECHONET Lite対応機器を簡単に作ることができるボードの展示を行っていました。応用例として電子錠やブザー、照明の試作機も展示していました。ECHONET Liteの信号によって電子錠がガチッと動くところは見て感動しましたね。私が簡便に作ったWebUIでも問題なく動作していました。コントローラ側も容易に作れるそうです。

もう一社機器提供して頂いた文化シャッターはすでにECHONET Lite対応シャッターを多数販売している会社で、コンパクトに同社の機器を設置した什器を展示していました。ECHONET Lite対応シャッターを初めてみたのですが非常にがっちりしたつくりの電動シャッターで、動作も非常に安定しており、動かすこと自体が楽しい迫力の住設機器でした。これをソニーのMESHとNanoGW, Node-REDで動かすようにデモを構成したのですが本当に楽しくて、何もなくても暇な時にがちがち動かして遊んでしまいました。ZEH補助金の効果もあって売り上げは上々のことです。うちでもぜひつかってみたいデバイスですね。

イベントは二日間で、一日目の夜には大阪駅ビルのレストランで出展企業同士の懇親会を開催し、大変盛り上がりました。今回展示はありませんでしたが前述Pico Communityにご協力いただいている三井ホームの方も来られて、とても楽しい会となりました。展示会の目的は新しいお客さんを見つけるということもありますが、同じ業界にいる出展社同士の関係を深めて今後のコラボの可能性を探るのも非常に重要です。

このチームでスマートハウス業界を盛り上げていきます!
お疲れ様でした!

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